コンテンツへスキップ →

宇宙でいちばんやさしいオタクネタ

映画「メタモルフォーゼの縁側」を見た。女子高校生と75歳のおばあちゃんがBL漫画をきっかけに友達になって好きな作品のこと語り合ったり漫画の貸し借りしたり好きが高じて同人誌を出してみたりするというオタクライフの話。すでに見て激推ししてらしたフォロワーさんに「なたのさん何かしら刺さるものがあると思いますよ!」と言われて見に行った。

BLにそこまで造詣があるわけでなくオタクあるあるネタみたいなものがすごく苦手なので本当に楽しめるかなと思いながらみたらもうね、上映時間中8割くらい泣いていました。こんなにやさしいオタクネタの話ほかにある!!???あんまりよかったので原作漫画も全巻買って次の日に読んじゃった。
女子高校生とおばあちゃんがBLを…ってシチュエーションはめちゃめちゃ面白いんだけど、何かを好きになるときってこういう気持ちだよねっていうわかるわかるだった。キラキラしてた。

特に同人誌即売会に出ようとするパートが良くて、誰かに認められなくちゃとか才能がなくちゃいけないみたいなギラギラした気持ちじゃなくてただ好きだから漫画を読んで漫画を描くの、忘れてたけど知ってるやつだったな~。これを…人に売るのか…?と思いながら描くのスゲーわかるよ。

私は商業で無理をしてから漫画に対してイップスになってしまい2年ほど同人もできなくなっているのですが、自分が見失ってしまっていたもの全部メタモルフォーゼの縁側にあったな。才能ないと漫画描いちゃダメってことないでしょ、ってセリフ自分に言われたのかと思った。

作中きちんとイベント参加をできなかったうららちゃん(女子高校生のほう)が己の情けなさに泣いてしまって雪さん(おばあちゃんのほう)に情けないことなんてあるものですか!って励まされるシーンあるんですけどこれはマジで情けないことなんもないよ!だってお前!初めてのサークル参加で締め切りが早まったのに原稿を落とさずちゃんとオフセットで本だせたの、偉すぎ。1日1ページやれば終わるか…って限界同人人間全員言ったことあるけどそれを言う段階になってから実際に1日1ページを完遂できる人そんなにいねえからな!!

あと原作にはない要素で雪さんが漫画を描くうららちゃんに感化されて昔のことを思い出して好きなBL作家さんにファンレターを書くという流れがあって、これを入れた映画版の制作陣いい仕事したな…!!!と思う。感想言うのだって立派な創作活動だもんね。

この映画、すげー雑に言ってしまうと「同じ趣味の友達ができた」というだけの話なんですよ、だから受験生になったうららちゃんの進路が何か劇的に決まるわけではないし足腰の不自由な独居老人としての雪さんの生活が急に良くなったりするわけではない、なるようにしかならない。でも、好きな作品を楽しんだり大事な誰かと分かち合うことで少し前向きに生きていけるのってオタクってそうだよな。

いやーよかった。

0

カテゴリー: 感想 雑記